やさしい ビジネスショート講座

2分で読める!読みきりサイズのワンポイントビジネス講座。新入社員から管理者まで、役立つ実践スキルを紹介します。

会社とは何か?「仕事の原動力」

 

f:id:yukio_kato:20160110171116j:plain

「終わりの見えない仕事」や「毎日、変化抑揚のないルーチン業務」に従事している時、まるで歩いても歩いても出口の見えない迷宮のトンネルの中にいるような気持ちに苛まれることがあります。

退社するまで続く毎日の「仕事」を人々はそれぞれどのような思いでこなし、また、どの様な原動力を持って対処しようとしているのか・・・・。

今日は、日々の仕事に対し、それぞれが持つであろう、その受け止め方や考え方の一端について、触れてみたいと思います。

企業研修で、「何のために働いていますか?」と云う問いに対する答えは、役職や階層別に答えは異なります。中級管理職クラスの答えは職業人としての成熟度を感じさせ、講師の期待?に応えようとするやや普遍的、模範的な回答も無くはありません。

一番正直な?回答が多く出るのが30~35歳くらいのこれから家庭を持つか、持って間もない中堅どころの社員の回答は現実的になります。「日々の糧を得る、ズバリ家族を養うため」や「将来のしかるべき自分の目的のため」などです。

これらは、素直で正直な答えで、勿論、間違っているとか言われるものではありませんし、これはこれで立派な答えであると思います。その殆どは、予想どおりの回答ですが、出来れば聞きたかったのは、自己の職業(仕事)を通して生み出している『価値』『役割』が社会や人々にどう貢献しているか等、いわゆるその人の職業観(仕事観)のようなものに関して言及して欲しかったと云う感想があります。

この辺の話、つまり職業観や仕事観の話と言うものを問うことは、ズバリ「精神論の範疇」になって、個人の内面の精神生活に触れることを意味しますので私は「研修題材」にはふさわしくないとは思っています。

しかし、入社当時を振り返れば、「新入社員研修」や幹部、上司訓話などでは、これからの「職業生活」に大事なその心構えの一つとして、仕事に対する使命感・やり甲斐など、職業意識を持つことの重要性と云うか、いわゆる「職業観(仕事観)」の大切さを教わることがあったと思います。

「自分や家族のために働く」と云うのも立派な目的ですが、自分の職業(仕事)が、先に述べたように、「社会や人々にどんな価値を提供し、役に立っているか?!」を自覚出来れば、自己目的をもっと大きく補完することができ、それはその人の仕事をする上での大きな原動力になる筈と考えれるからです。

私には、そのことを身をもって確信した出来事がありました。

ある大手の食品メーカの社員研修に際し、私は、研修の実施日以前に工場の夜間・深夜工程の作業を予め見学させて頂く機会がありました。

その日、そこで私が目の当たりにした食品工場における夜間・深夜作業というものは、想像していたよりもずっと大変な作業と分かりましたが、皆さんは、黙々と手際よくキビキビと働いていた姿は、今持って鮮明な記憶として残っています。

そして、その時、声掛をけした一人の従業員さんとのやり取りの中に、意外な言葉を聞くことが出来ました。彼が云うには「この作業では、朝と昼に、コンビニの店頭に並ぶお弁当を作っているところです。〇〇時には工場出荷しないと間に合いません。時間に縛られた気の抜けない作業ですが、この商品を待っているお客様がいらっしゃるいますから・・・・。」

部外者向けの言葉とは思いますが、私が尋ねたのは確か「ご苦労さまです。作業は大変でしょう・・・」と云ったような愚問だったと思いますが、特に、後段の方の「お客様云々・・・」は、全く予想していなかった答えで、失礼ながら驚いたことを覚えています。

監督者なら当然の受け応えと思いますが、一従業員さんからは、もっと現実的な話や異なるアッピールがあるのではないかと思っていましたが、私の予想は完全に外れていました。

恐らく、働く多くの人々は「手っ取り早く稼げるなら何でもいい」と云うことにはならない筈で、終わりの無い仕事の中にも、例え、ささやかであっても、そのやり甲斐や誇りに拠り所を置きつつ日々頑張っているのだ、という確証を得た感がありました。

「この仕事は、自分がやらなければならない」という「使命感」は自己の「仕事観」を補強し更には「自己の人生目的」を達成するための大きな「原動力」になりうるものなのだろうと・・です。

「職業観(仕事観)」「自己の人生目的」「仕事への使命感」等々はお互いに相互に関連して補完し合いながら各人の中に秘めて存在するものではないのかと、改めて推察する次第です。