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会社とは何か?「PDCAを回すと云う謎」

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日頃上司から「もっとPDCAを回した仕事をやりなさい!」と言われた方も多いことでしょう。かっての私の上司もこのコトバを多用されていました。日常ビジネスの現場で聞くこの”コトバ”とは、一体どのような効力、効果をもたらすものなのか、いや、コンサルタントの先生方や一部の管理職を除いては、もはやビシネスの現場では、すでに死語や念仏に近いものになっているのではないかとの声すら聞こえてきそうな・・・そこで、今日はこの誰もが知っているこのコトバが知名度の割に著しい効能?を聞くことの少ないという、その謎めいた実態につて改めて考えてみたいと思います。

ビジネス本やコンサルタントの先生は、このPDCAにつては、外すことの出来ない定番メニューになっていると思いますが、PDCAを回すという”作業”を、実際、継続的に制度的に上手にやっている云う話は殆ど聞いた事がありません。大体、大号令で始まって、後は、部下まかせになってしまうことも多く、命じられた部下社員の皆さんは、PDCAを回すというその手順を守ることに四苦八苦して重い仕事になっている場合があります。

PDCAは当然「手段」であるべきですが、社員は、決められた手順・手続き、書式行為を守ることに埋没して、最悪の場合は、PDCAの手順を踏むことが「目的」になって、本来の目的は形骸化し雲散霧消してしまっているケースもあります。

このことは、以前関係していた企業(日本有数の大企業)のある大都市を統括する支店長さんが、PDCAを支店経営に導入した時のことを思い出します。支店長さんの「月次経理にPDCAを取り入れよう・・・・・!」の号令一下、プロジェクトを立ち上げて、PDCAを提唱推進する団体のコンサルタントを6ヶ月間常駐もさせて膨大な月次経理の事務処理体系を作り上げました。

私も実際に手にとって見てその関係帳票類の多いのには驚いたことを覚えています。一つのマターの動きは、数冊の帳票に関連して来ますから、その転記や関連性の維持管理に膨大な時間と労力がかかることが分かりました。

当該のコンさんタントさんは、月次のPDCA導入後も約1年定着化に向けて常駐されていましたが、そのために新設された事務局員や各部門の担当者には決して決して評判のよいものではなかったと記憶しています。

かくして、くだんの壮大な「PDCAシステム」は膨大なコスト・時間を掛けて、その後1年半位実行された後、提唱した支店長さんが転勤すると同時に消滅して「幻」と化してしまいました。

このことは、多くの教訓を与えた出来事であったと思います。”PDCAが役立たず”ということではなく、PDCAの表面的な機能のみならず”目的とする精神”をも取り入れることが出来たら、もう少しどうにかなったのではないかと思いました。

例えば、PDCAの「P」は計画と訳されていて、物事を「計画する」ことになっています。それは間違いでは無いのですが、計画という言葉一つで片付く、「ステップ1」ではない筈です。このPの段階で計画される中身はいわゆる「How to」がベースになくては、皆さんもご存知のように計画は単なる「絵に描いた餅」に過ぎません。

計画段階で「How to」まで書けと言っても無理と云う向きもありますが、そこは「仮説」でいいのです。計画段階は仮説力が物を言います。今手元にある例えわずかな根拠であっても、これを一つの仮説に構築してゆく力が必要です。それが読み手に納得とまで行かなくても、やってみる価値を認めさせるポイントになります。その仮説を月次で実行、検証して「リファイン」してゆくことがPDCAの精神ではないでしょうか。月次は経理主管だけでなく、社内各部署にも多くの事務的な負担がかかりますから、闇雲に書式行為が多くなることや月次報告の様式が複雑化することは避けるべきです。

関連して、多くのビジネス書には各種の経営分析のフォーマットが見られますが、これらを有効活用して仕事に活かすことは否定しませんが、フォーマットから得られた結果をストレートに適用して正解として”崇める”ことは禁物です。多くの分析フォーマットも、どこに問題があるかの「現状把握」をするもは使えるものも多くありありますが、答え(次の打ち手)まで教えれくれる様なモノはあまりお薦め出来ません。

打ち手は、地道に仮説→実行→検証→仮説(繰り返し)になります。例え著名なフォ-マットであっても、これで万全とばかりに、「打ち手」を丸投げにして頼るのは推奨しません。と言うよりか、経営や、ビジネスにおいては「次の打ち手」が既成品の分析フォーマット一つで決められるほど「甘い世界」でないということを多くの実例で物語っていることも事実と思います。

但し、その考え方や思考の切り口としては、「フォーマットの精神」は大いに勉強になると云うことは言うまでもありません。