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会社とは何か?「指揮命令の落とし穴」

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山茶花の咲くベンチのある公園の風景」

 当たり前であるが、どの会社組織においても、 一定の「指揮命令系統」が存在しており、その中で人により日々の業務運営が行われています。ですが、いきなり「指揮命令系統って?」と問われると、分かっているつもりでも、にわかには答えられない気もします。

指揮命令系統を簡単にイメージするするには、一部例外を除き、「会社の組織図=指揮命令系統」と理解されてもよろしいかと思います。

組織図というのは、どこの企業にも社長さんをトップにして段階的に「あみだくじパターン」で下位職位まで記されている図表があると思いますが、あれです。あれをそのまま指揮命令系統とイメージするのが手っ取り早い方法です。

蛇足ですが、この組織図でトップから縦線でつながっているところがいわゆる「ライン組織」と言われ指揮命令系統の本流そのものになります。

もう一つ、ラインから、途中枝のように出ている組織もありますが、これをスタッフ組織と言い、社長室や企画室(部)などが該当しますが、指揮命令系統からは外れています。

つまり、社長さんなどのスタッフとしての機能を司ることに特化している組織です。

あとは、社内横断的なメンバーによるプロジェクトチーム等、上層部の「特命」により、与えられた一定の指揮命令権を持って業務を遂行する場合などは既存の指揮命令のルートから外れることは言うまでもありません。

 

普段は、この社長から担当者までの”縦のネットワーク”により業務命令や指示が出されます。ですから、下流からトップ方面に向かって命令や指示は発出されません。下から上へは、いわゆる、ほうれん草の類(報告、連絡、相談)となります。

ですから、例えば『社長から以下のとおり報告がありました。』という社内文章の書き方は間違いです。注)これは以前にも少し触れました。

次に、指揮命令の伝え方です。直属に部下に対しては、もちろん口頭でも良いわけですが、上層部に行けば行くほど各職場に赴くことは効率的ではありませんし、なにかと無理があります。

そこで、文書あるいは社内LANなどの通信ネットワークなども併用されていると思いますが、文書の利点もありますので、文書でと言うところもまだあるでしょう。

問題は、口頭から口頭などの場合は注意を要します。指示や命令の具体的内容が、いつも明確に残る形で自分に来るとは限りません。上位者からの指示命令は一言一句聞き漏らさず、あるいは書き留めて、それをまた自分だけでなく部下のいる場合はそれを正確に伝えなくてはなりません。

また、指示や命令を発出する人も十分な注意が必要です。大切な事ほど受命者(指示や命令を受ける人)の理解度を図りながら指示等を下し、正確に受け止めたかどうかを確認しながら伝えることが重要です。

当然ですが、受命者はメモを取るなど、あるいは不明点などは臆せずその場で確認することが必要です。

勝手な思い込みや、曖昧な妥協が後でとんでもないことに発展して多大な混乱や失態につながって、社内だけにとどまらない場合もあり得ます。

特に人間は自分の不得意な分野のことは、無意識に避けて聞いてしまう傾向にあると言われます。本来の趣旨に自分なりのバイヤスを掛け、いいように解釈してしまうことは実際には、よくあることです。

上司の指示や指摘事項の何点かの中に、「会社の数字」に関することがあったとします。自分が普段から数字に弱い、嫌いと思っていると、何故かその部分が「欠落」してしまうか、趣旨を正しく伝えられないことなども職場で発生している問題です。

例えば、出席した会議の模様を部下に伝えるときも、自分も興味があり得意分野の話は、時間を掛けて連綿と話すのですが、数字がもろに絡む「月次経理」の部分は、いとも簡潔に終わらせてしまう方が実際にいらっしゃいます。

お気付きのように、どのような指揮命令のネットワークに載せられた会社の”強い意志”も担当者まで正しく伝わらなくては意味をなしません。

指示や命令を出す人、受ける人、双方のそれぞれが、正確に心して授受行為をしなければならないと思います。

特に、指示や命令を出した方は、その時点で受命者の理解度を確認することは特に大事で、一通りのオーダーのあと質問を促したり、ポイントを逆質問をしてみるなどして、慎重を期すべきです。

一番いけないのは、上位職位者が指示や命令を出しっぱなしにしていて、ただじっと報告を待つと言うケースです。

重要マターほど社内でオーソライズして重点施策にした上で月次経理などで進捗状況をしっかりと管理するとか、あるいは個別に「特命PT」を立ち上げ、随時報告を求めるとかの方法があるはずです。

いきなり、間際になって、「あれはどうなっている!?」では組織もぎくしゃくするというものです。

つまり、指揮命令ネットワークのどの階層レベルにおいても、指揮命令のあとは、終わりではなく、常により一層のフォローアップが必要になります。

抽象的ですが、フォローアップは「双方向のコミュニケーション」と読み替えても良いと思います。

例えば、廊下で、すれ違った時に、「あれうまくいってるか?困っていることはないか?」と声がけすると言うのもありでしょう。これであっても立派にフォローの一つになるのではないかと思います。

余談ですが、先日テレビのワイドショーで行政のトップの方と部下職員の方とのやり取りの内容を録音したものが報道されました。トップの方は道路拡幅の案件について「7年前から何やっていた・・・云々」という叱責をされていました。

「立ち退きがうまくいっていない話」のようでしたが、トップの方は、それを初めて聞いたのか(それはあり得ないと思うが)、事あるごとにチェックを入れていたのかは分かりませんが、7年前からあった重要案件がこれまでの間どのような経過を経て今日に至ったのか、そして管理がなされていたのかが大いに気になりました。

組織あるところ、この永遠のテーマ「指揮命令」に関わる不変の原理原則を上司と部下双方とも、改めて心すべきことです。

 勿論、日常のルーテインや、すでにポストや担当に職務が割り当てられている場合は、毎日同じことを指示しなくても良いように上司の指示等はいちいちありませんね。 

最後に、会社の各部署の担当者まで、今やっているその仕事の権限は、もともとは社長さんのものだと言う考え方もあります。

社長さんがやり切れないので、専務さんに下ろして、専務さんがまた常務さんに下ろして部長さんへ下りて・・・担当者へとなったのです。

これが「指揮命令系統」の真髄だと思います。

また、これらは組織論的には「分掌」とか「委任」とか言われています。