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会社とは何か?「不思議な〈責任の所在〉」

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少し話が古くなりますが、小池都政が誕生して4ヶ月が過ぎようとしています。

小池都知事が直面している問題の一つ豊洲移転問題は、混沌とした状態が続いておりましたが、ようやく移転時期を含めその方向性に一定の見解が示されました。

今日は、これまでの一連の報道の中で、”ある”と思われていた「盛土」が”無く、地下空間なっていた責任問題に鑑み、今一度、組織の責任、権限について触れてみたいと思います。

誰のいつどのような判断がなされた結果によるものか?などの責任問題については、最近、8人の都庁幹部の方々の関わりがありとの報道がありました。

報道で明らかになるまでにかなりの時間がかかりました。世界に誇る先進近代都市である大東京〈司令塔〉の組織にあって、あの大事業の責任者が誰であるのかが、よくよく調べないと分からないし、当初、明らかに当事者?と思われる方までが、「さあ~??」と言うのは、誰もが不思議に思ったに違いありません。

組織の大小にかかわらず、組織を創って仕事をするということは、個々で仕事をするよりも効率よくうまく仕事がやれるからであり、何よりも責任の所在を明確にできるということです。

また、組織を作る目的を物語的に言えば、(以前のシリーズで、屋台のラーメン屋さんに例えて少し触れました)トップが独りでやっていた仕事を〈業容の拡大〉とともに人を雇い、自分の仕事を人に割り当てることが組織の始まりです。

これが「分業・分担」であり、取りも直さず「分権」にも通じます。

都庁というあれだけの組織を〈知事が独りでやりきれるものではなく〉、当然、組織化され、都庁が出来上がっていると考えます。

与えられた仕事をやるには、一定の職能と権限が必要になりますが、それは、トップからの分権によって各部署に降ろされて来ていると考えるのが分かり易いと思います。

つまり、組織各部署が仕事をやる上での権限は、元々トップが全権を保有していたものを、順次、下位への分権や権限委譲がなされたものであり、それにより、自ずとヒエラルキー的に体系化され組織が出来上ったと考えられます。(組織の権限論は、一部学者によっては若干諸説があります)

であれば、前出の豊洲市場の責任の所在は、誰が、下した判断(決裁)であるかは明白である筈です。

しかし、当初から誰の判断か不明であるかの様な報道がなされていましたが、そんなことはなく,新しい理事者(小池都知事)の追求に組織がお互いに〈かばい合ったか〉、〈隠蔽しようと口裏を合わせたか〉〈いつかは、白日に晒されることは分かっても時間稼ぎで抵抗したか〉しか考えられません。

どのような組織にも、各部署の業務の受け持ち範囲(分掌)、権限(責任)規定の類は、しっかり文書化され整備されているはずなのです。

でなければ、業務の受け持ち範囲も分からず、当然責任の所在も不明です。混乱して業務の遂行は困難なものになりますので、いくら何でも、そんなことはあり得無いことでしょう。

以前のシリーズでも触れましたが、権限と責任はクルマの両輪です。権限の行使は責任が伴うのです。よく愚痴った時に「この仕事を自分はやているけど何の権限もない」と言うのは間違いです。どんな仕事でも、その仕事を任されている以上そこには「権限」があり「責任」があるのです。

ですから、「仕事=責任」と考えても良いのです。新入社員研修のときには、大事なこととして、よく取り上げ理解してもらいます。

そして、どの様な組織でもトップが自分ではなく、下位職者(自分の部下)が、しでかしたこと、判断したことだからと、責任逃れすることは、許されません。

権限を下位へ下ろした、委譲したと言っても「根っこ」は自分です。下ろした権限が正しく適正に行使されているか等、上司として管理・監督・指導するという責任(仕事)は留保されていると云うことをトップは忘れてならないことです。

ましてや、当時の都知事さんは、この問題について問われると「記憶にない」と回答されているやの報道がありますが、自分の記憶が「ある」「なし」にかかわらずそのポストにいたということで、責任を負うことになると思います。

トップや上司の責任とはそう云うもので、例え、自分の知らないところで起こった問題であっても、「記憶にない」や「存じません」は通りません。一部の方が言われているようにガバナンスの問題ということにも一脈通じます。

ご本人の回答はどうあれ、当時の知事さんには、逃れられない重大な責任はあると思うのは、私だけでは無いと思います。