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会社とは何か? 「指揮命令」

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あけましておめでとうございます。

新年の今日は、会社の神経系とも云うべき、「指揮命令」とその周辺について、お話を致します。

会社は、何かをやり遂げる目的を持った集合体です。その目的達成のために必要な社内の動きを、適時・適切にコントロールして行かなくてはなりません。そのためには、会社の各部署、個々の担当者に至るまで、あたかも人の手足のごとく下された命令や指示を忠実に実行することが大前提になります。

こで、少し横道へ入りますが、会社を「法人」とも言います。これは、法律上、会社を人と同様に、住所や、種々の権利を有した「法律上の人間(法人)」として認めているからに他なりません。

私たち人間は、頭で何らかの意思決定をして、手足に命令し、これを動かして活動して、その目的を果たそうとします。これは取りも直さず、会社の動きと原理的には、何ら変わるところはなさそうです。

このシステム、すなわち、『From 意思決定者(発令者)⇒To 行動部隊(受命者)』の構図が、会社の神経系であり、意思を組織の隅々まで伝える重要なシステムであって、”不変盤石のルール” かつ ”組織の掟”です。

この「システム系統」により発せられる各種の指示事項を総称して、会社では「指揮命令」と言い、その流れ(上から下へのルート)を「指揮命令系統」と言います。

ここでは、初めて「指揮命令系統」が出て来ましたが、これは会社の「組織図」をイメージして下さい。社長が一番上に書いてあって、以下順次、専務や副社長など担当部署などが降順に記された例のものです。その組織図をそのまま「指揮命令系統」と読み替えて差し支えありません。

この様に、指揮命令は上記のとおり、「上から下へ」ですが、「報告」は逆に「下から上に」上がります。

職場で、まれに、「社長から次のような報告があった・・・云々」と、何気なく部課長が朝のミーテイングなどで言うのを目にしますが、社長は部下に対し、通例は「報告する」とはなりませんから注意が必要です。報告は、部下が上司の各種下命に対する回答(報告)が基本です。

 

さて、また主題に戻しますが、前々号でお話しましたが、行動部隊(受命者)のいわゆる「動き」には、大きく分けて2つありましたね。まず1つは、予め担当部署や個人の「責任範囲」に、定められている動きでした。ルーチン・ワーク的なものはこの範疇です。会社は毎日いちいち指示しなくても、部署や個人が動けるように、定型的な業務は予め「指揮命令」されていると考えてよいと思います。

 

もう一つは、業務上の必要により、その都度指示されるものでした。例えば、プロジェクト・リーダーに任命される、あるいはメンバーに加わるときなど、日常的に決められた仕事以外のものになります。この場合は、指示や命令の形で発出され、それを受けた「受命者」はその指揮命令に従い、下命の内容にもとづき動くことになります。これらは、社内では社員の目に触れるときは、達(社長達)、通達、指示(口頭を含む)、通知等など という名前で示され、各社様々です。

余談ですが、不思議なことに、具体的に「命令」という言葉は、口頭では使っても、これらの下命文書では、まず見ませんね。人事発令等で「命ずる」という言葉は見かけますが・・・。

口頭で「命令」を使う場合とは、一定の指示をしたにも拘わらず、部下が納得しないなどの場面では、上位職位者が、部下に向かって ”This  is orders!” と叫ぶ場面に遭遇することがあります。

これは、管理者としての持てる権限の全てを発揮してでも業務を遂行しようとする「指揮命令」権の行使の場面に他なりません。

このように、管理者、上位職位者が「これは、業務命令です!」と叫んだときには、部下は、何を「進言」し、「意見」を言っても取り合って貰えない筈です。逆に納得できず抵抗した部下の方が、確認しても無駄と承知で上司に「これは業務命令ですか?」と聞く場面もありますが、「そうだ」と上司が答えたらサラリーマンとしては、そこで引き下るべきです。テレビドラマで熱血社員が上司に迫るあの場面です。

前記のように、組織の決定は、何事にも優先します。”不変盤石のルール”、”組織の掟”に従うのはサラリーマンであれば致し方ありません。

また、部下の責任・権限は上司から下りて来ているものですし、部下の管理責任を負っている上司に対し、それ以上の抵抗は無駄なことは、お分かりですね。このように、一般的に上司の指揮命令には、それが「規則・法令等に違反していない限り」従うことになる訳です。

 

ここまで読まれて、当たり前のことじゃなかと思われた方もあると思いますが、私の関わった事例によれば、例えば、本社からの指示事項を地方の工場や支店において、その責任者の考え方などで、必ずしも100%本社からの指示通りに実施しなかったり、極端なときには無視してしまう事例をまま経験しています。

そのことが、後々取引先や、お客様に多大な迷惑や損失を与え、会社にも多くの経済的損害と社会的な信用・体面も汚してしまう結果となった事例です。調査すると指示通りに動かなかったことが主原因と判明しました。一個人の誤った判断により、会社の「神経系」が、切断されて会社が機能不全に陥った事例です。

端的な事例かもしれませんが、個人の判断は、特殊な事例を除き、会社指示より優先することは原則無いと考える方がよいと思います。

これは、事の大小に拘わらず大変重要な問題です。上部指示が自事業所にどうしてもそぐわない等の問題が有ったら、その理由を付して本社に速やかに申告すべきです。そして、指示通りに行けない事由を説明し、併せて「代替案」があれば、それを示すべきです。それで、本社等の承認を求めますが、それでも、それが認められず、「これは業務命令だ!」となれば、たとえ「理不尽」と思えても組織人としては、それに従わざるを得ません。

殆どの会社組織では、そのようなことは無いものと考えますが、「人が組織を動かしている」ということは、結果としてそのようなことが起り得ます。それを理解しておく必要があると申し上げたいと思います。これは、「社員教育」の部分にも関わる大変重要なテーマですから、別途、この場においても取り上げたいと思います。