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会社とは何か?「鍵になる『出来上がりイメージ力』」

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人が作ったこの世に存在する全てものは、(有形・無形にかかわらず)誰かが、頭の中で考えたことが実現したものに違いありません。天才のひらめきは別として、その時、人々の頭の中は、きっと、こうではなかったでしょうか?①「それはこうじゃないか?!」「こうすれば、こうなるのではないか?!」とまず考える。②そして先ず「やってみよう」。しかし、結果は、そうは、うまく行きませんから、③「どこが駄目で、どこは良かったか」など、よく点検し、評価、測定を行います。それから、それらの実施データをベースにして、更に、④「新たな計画や企画に手直しを加え、また実行してみる」・・・・この①~④のサイクルを繰り返し行います。これは、①の当初案の精度を徐々に上げて行く作業であり、やがて最終的に求めるレベルに到達したところで、「所期の目的」が達成出来るという訳です。

ここまで来ると、お気付きのように、これは皆さんがよくビジネス書などで目にするP・D・C・A(またはP・D・S)にほかなりません。今日のテーマは、このPDCAではありませんが、これらのうちの①には、少し関連しています。今日は、もっと手近なところで活用範囲の広い「出来上がりイメージ力」と云う考え方につてお話します。

以前のテーマの何処かで、少し触れましたが、ビジネスでは、仮説→実行→検証→また、仮説・・・・のサイクルの繰り返し、と言いました。これも云わば、PDCAの言い方を言い替えた何物でもありません。(※PDCAは主に品質管理などで使われる。ビジネス一般ではPDSを使うとことも多い。)

こうして見ると「プラン」や、「仮説」は、スタート時点では、「100%の確信の持てない決定」です。ですが、以前の号でも触れたように、「ビジネス上の問題の答え」には、”正解”というものはありません。有ったとしても、それは未来のある時点で、その結果をみて「正しい」と評定されるものです。しかし、それとても、もっとより良い正解が有ったかどうかは誰も分かりません。つまり、ビジネスでは、現時点でこうであろうと想定(断定)出来ることは重要な能力なのです。つまり正しいかどうかではなく、今時点の持てるデーターや(動物的勘を含めて)、こうだというものを導き出せるかどうかが鍵になります。そして、そこから始まります。「こうではないか?」という想定から始まる。これが「出来上がりイメージ力」です。この「出発点」での「全体構築力」は、ゆめゆめおろそかには出来ません。

例えば、皆さんがオムレツを作るように命じられたとして、次のようなケースが考えられます。

①オムレツという言葉を初めて聞いたし、勿論、見たことも食べたこともない人。②食べたこともあるし、当然見たことはある人。③オムレツは好物であるし、自分でも作って食べることがある人。この場合、③の人は除外します。この人は、恐らく上手く作れる人でしょうから問題にしません。

しかし、①の人は、全くオムレツの情報を持ち合わせていませんから、この人は「出来上がりイメージ力」は湧きようがありません。②の人は、オムレツに対するある程度の情報は持っていますから、この持てる情報を統合して、オムレツは、こうやれば出来るのではないかと云う「出来上がりイメージ力」を発揮することは出来そうです。という具合です。

つまり、日常の仕事や課題処理にあたって、この「出来上がりイメージ力」があると無いとでは、先ずスタートが違います。出来上がりイメージ力が湧かない仕事は、取っ掛かりから、恐らく手のつけようがないでしょう。そうすると、情報収集や、教えてくれそうな人に相談するとか、下手をすると、期限があるものは上司にギブアップを申し出るというハメになるかも知れません。

私たちは、出来上がりイメージの湧かないことは、人から教わったり、先ず自分で勉強しないと出来ないようです。オムレツを作ったことがない人でも、食べた経験からこの「出来上がりイメージ力」のある人は、出来栄えは別として、オムレツらしきところには辿り着けそうです。そして、その結果を踏まえて、次回は正しいオムレツへと近づけます。

そんなことを言っても、会社は経験したしことのある仕事だけではありません。ですから、新しい仕事では、勉強が必要です。そして、その仕事の「出来上がりイメージ力」が早く湧くようにすることです。「出来上がりイメージ力」が湧くかどうかが熟達度を測る一つの尺度と言ってよいでしょう。

以前のセミナーで受講者から質問がありました。「やったことのない仕事(PT)を任されたが、最初から、どうやればよいか、イメージも湧き、頭の中で確信が持てたが・・・。」

その場の回答では「あなたの今までの色々経験された仕事の知識、スキルで対処できるものだったのではありませんか?つまり応用問題的テーマを解かれたのではありませんか。」と申し上げましたが、質問者の得心を頂きました。

仕事の熟練、熟達の方々に共通することは、まず、コア(自己の専門分野等)の知識やスキルがあって、その周辺関連業務にも精通するようになりますから、どの角度から来られても、「出来上がりイメージ力」は湧くようになります。(中心となるコアの知識は以前の号でも触れました。)

この様な人は、周囲の信頼も厚くなっており、ポジション的にも相当なところにおられる筈です。何もない所からは、何も湧いて来ないと思います。ルーチン業務は別として、自ら、テーマや問題設定をして「出来上がりイメージ」が湧くかどうか問うてみることはいかがでしょうか。

何のイメージもとっかかりも湧かないのは”学習対象”にするなどの工夫をして自己研鑽を重ねてゆくことは、「いざ鎌倉」という重要な局面などにおいて、あなた自身が、あなた自身を助けることになるでしょう。