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会社とは何か? 「経営計画」(補足)

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経営計画は、お話をすると「間口」も「奥行き」も広いのですが、少しだけ補足したいと思います。

経営計画は社内各部署に示されて終りでありません。そこから、担当部署の作業が始まりますので、その点について、少し触れさせて頂きます。

※ここで云う「経営計画」とは、前号でも述べましたが、会社によっては、呼び名は、「年度経営方針」や「年度事業計画」などと言い方は区々になっていますが、示達の内容は、そう変わりませんので読み替えて下さい。

経営計画の示達を受けた各部署の長は、全社の目標、方針を自部用にブレーク・ダウンして「部目標」やそれに伴う「部方針」を決定します。以下課(係)も同様です。

少し具体的に、事務的になりますが、部目標や部方針を決めるのは簡単?ですが、問題はその目標や方針を部の「計画レベル」にまでに「数字を落とし込む」までが、大変です。部の計画は各課の数値の積み上がりですから、適当?に架空数値を積み上げたり、あるいは各課に目標額を按分して割り当て、数字を当て込むだけでは、1年間それで持つとは思えません。各部の課が大変なのはこの部分です。年度の具体的な目標を具体的な計画レベルにまで数字を落とし込むには、その数字の「根拠」を明らかにしておくことが求められます。つまりその「目標値をどう達成するか」の根拠がないと単なる数字の羅列・列挙に過ぎず、やがて毎月訪れる魔の「月次経理」の場は言い訳だけでは、「御前会議の場」でもあり、マネージャーさんは許してもらえないでしょう。社長さんや役員から「確か先月も、来月こそ目標額を達成いたしますと言ってたね!」とか言われ、その頃は前月、前々月からの遅れが重くのしかかって来ていますから、当月の目標達成分だけでは追いつかなくなっているかもしれません・・。

こうして年間の売上計画の進捗率はどんどん悪化して、遅れて行くことになります。

話を戻して、経営計画の大枠の示達内容から各部が作成した数値は、やがて経営企画部門等に集められ、そこで合算されますが、そこには数字をめぐり企画部門と担当各部との厳しい折衝があります。全社が一年間、事業活動を推進して行く拠り所となる数値は、揉みにもまれ調整された後、社長承認を得て、また担当各部に戻され、ようやくオーソライズされた数字となります。年間計画上の数値はこの様に「出た目勝負」でなく、しっかりとした「仕込み」や「企図」に裏打ちをされた数字が載せられています。

また、年間計画などの「計画」とは、〈時間軸〉に『数字」を括りつけたものと言えます。計画を提示し「後はお願い」で担当者任せにせず、そこに、さらにWhoやHow・・・などの具体性をもたせたアクション・プランでのマネージメントは当然必要になると思います。

企業によっては、上部からの”鶴の一声”で『今年度の売上目標は◯◯◯億円以上を全社で達成すべし。』以上、と云う豪快な企業もあるやに伺いますが、実際には、あまり聞きません。社内外の「現状分析」や「方針」も示されずでは、目標額だけ示されても受けた下流の組織では、何をどうすれば良いのか分からず、途方に暮れます。(そのようなことは、まず無いでしょう・・・)

販売や販売企画を担当されたことのある人はお分かりのとおり、そう簡単には、数字の裏付けは取れませんが、この時に味方になるのが経営計画書の重要エッセンスである「社内外の現状分析」や「方針」が強い味方になります。

社内外の現状分析とは、特に市場・環境の変化の把握分析、顧客動向等々です。また社内の個別の事情も分析し考慮すべきはしなければなりません。

それらを総合的に勘案して、目標を達成するまでの道行やストーリーの組み立てがあることが望まれます。つまり、その数字を積算した必然性が客観的に見えることが、否、見せることが出来なければ、根拠性は薄く説得力に欠けてしまいます。

方針も、また「根拠ある数字を創る」上で必要です。既に述べたように、方針は示達された目標をどうやって達成するかの大まかな考え方や方法を示したものですから、そこにもヒントは当然あると見るべきです。

その後、年間計画、月別計画にまで数値を落とし込めても、日常的には大(全社)・中(部門)の方針=「戦略」だけでは、大雑把で不十分ですから、各課(係)長さんは最後の作業として、その戦略の「下部概念」である具体的な「戦術」を捻出し、部下の皆さんと共有することが出来れば担当者は更に動き易くなり効果的です。

経営計画は、この回で一先ず終わりにします。次号以降でも関連がれば、その都度お話しすることにします。