やさしい ビジネスショート講座

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「見えないところで起きていること」

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部下管理で重要なことは、いろいろありますが、縛りすぎても駄目であることはよく言われます。

また、管理者の個性、やり方、考え方によって、「仕事は管理するが、人(部下)は管理しない」と言うご意見もあります。しかし、果たして部下管理は本当に必要ないでしょうか?

 


D・マグレガーの唱えた人間のX理論、Y理論では、人間は本来仕事は嫌いで命令や一定の拘束力が必要である(X理論)とする一方、人間は本来仕事をするのは本性であり、その条件次第で満足感や嫌気を持つ(Y理論)と、人間を2項で対比して説明していますが、現代では、働く価値観の多様化と、労働スタイルの変化に伴い、この2タイプに分類できるほど単純なものではないと思われます。

X理論は見方を変えれば、人間の性善説、Y理論は性悪説の様だと言う人もいます。

管理者はいずれにしても、部下を全くの野放図にして置いてよい訳がなく、いわゆる常に自己のコントロール下に置かなくてはなりません。言うは易くで、これがなかなか大変なことです。

冒頭にも触れましたが、甘くは見られたくないが、しかし縛りすぎてはいけないということが常に管理者の頭にあるはずです。

TVドラマに見る様な、大らかで出来る限り、物分りの良い上司でいたいという気持ちも働くかもしれません。この様な自己の心中における葛藤が、ますます管理の勘所、塩梅さを分からなくしてしまうところでもあります。

例えば、あなたの部下は積極的に嘘をつこうとは思ってはいない筈です。しかし、どうでしょうか?

以前、何か不手際があった時に、その指摘、指導に管理者にも問題があったり、適切な対応を欠いたりした場合には、同様なケースが運悪く再度発生すると、部下は、発覚を恐れて、事実を歪曲したり、嘘をついたりすることがよく有ります。

かと言って管理者とて、四六時中、部下のそばに居て箸の上げ下げまで、見届けるなどという芸当はとても不可能です。

では、どうしたら良いのかと言うことになりますが、この難しい管理をカバーするのが、その会社の”組織力”なのです。

社長さんが独りで出来ないから、会社を組織化して人を雇い、会社業務の「機能、分担」を行い、個々の役職者は権限移譲をして、徐々に自己の権限をピラミッドの下方へ下ろして行きます。その結果、いちいち、課長、部長、役員、社長に命令されなくても、社員は仕事が出来るというのがシステムとして機能している組織というものです。

管理者が、その都度指示しなくても、会社方針や、守るべき基準・原則が明確になっていなければなりません。そしてそれを、社員と共有できていることが絶対条件となります。

社員は、それらをガイドとして仕事をすることになるからです。

しかし、それらが有ったとしても、まだ十分とはいえません。最後に大事なのは社員と管理者(会社)との信頼関係です。これがないと、上辺だけの管理になってしまいます。

そしてこの辺に自信のない管理者ほど、自分の見えない所で起きていることに不安や懸念を覚えます。

そして、権限振りかざしての管理をますます強め、意に反して社員は離反してゆくスパイラルに陥る最悪のケースになります。

あなたとの信頼関係がある部下は、自分を信頼している上司に迷惑をかけられないという思いが、仕事への使命感をも呼び起こし、例えば皆さんが寝ている間も部下は仕事に邁進できるのです。信頼関係がない職場には、大方「報・連・相」なるものも無く、こうなると管理者は、自分の職場の見えないところで何が起きているのかは、もはや分からなくなってしまうのです。