やさしい ビジネスショート講座

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会社とは何か?「学習のタイミングとは」

 

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                          水門のある川辺の風景

 この冬の大寒波の襲来には、雪国のみならず普段は雪のほとんど降らない地域にも大きな打撃を与えました。ここに来て、ようやく寒さも和らいだので、春の兆しを探しに川岸を散歩してみましたが、まだまだ空は重暗く、風も冷たくあたりを吹き抜けていました。

 

 よく、”人生死ぬまで学習”とか、”学窓を出てからが本当の勉強”とか言われています。しかし、社会人になって見ると、自由になる時間が学生時代と異なり制限されます。

毎日のルーティンに追われながら時間のない中で皆さんはどの様な機会、方法で学んでいらっしゃるのでしょうか?

今日は、時間のない日常の中で、ビジネスマンはどのようにして、学習することが効率的、効果的であるのかについて、わたしのおすすめする(実践している)方法等についてお話します。

 

 皆さんは、日頃何らかの自己研鑽をされていることと思います。また、会社では社内研修があり、昇任、昇格試験や管理職登用試験制度のある企業など、好むと好まざるにかかわらず、学習することを余儀なくされているのが実状と思います。

 

 勉強しなければと思っても、なかなか自由になる時間は取れないし、アフター5のお付き合い、家に帰れば家族との対話やテレビの誘惑もあり、とても机に向かって本を読んだり、PCを操作する時間などはありません。と云う多くの答えが返ってきます。

 私が今日お話したいのは、そういった勉強の仕方ではありません。

言うならば、”心がけ次第”で勉強はいくらでも時間を掛けなくとも出来るという方法です。

 先ず、学ぶための目標です。ただ単に、業務知識等を豊富にしたいからでもいいでしょう。しかし出来れば学んだその暁に見えて来るもの、つまり「何のために学ぶか」が大事です。大袈裟な言い方をすれば、学ぶことによって得ようとしている具体的な目標があるかどうかです。

あるいは、そんな大袈裟なものでなくても、「将来はこうなりたいな」程度の獏とした願望の様なものでもよいのですが、まず、それらを意識できるかがポイントです。

ただ単に、手当たり次第にあれもこれもと本の乱読のように勉強するようなことは、効率も悪くあまりおすすめできません。

 例えば、あなたは、管理職登用試験を上司から、間もなく受けるように言われていたり、あるいは、同期より早く主任や係長になりたいと思っていたとします。これが大切なことで、そう思っていることが、言わずもがな学習の”トリガー”であり”動機付け”になるのです。

 

 方法は極めて簡単です。自分の目標や描いている将来像は、今の自分の知識やスキルで、対応可能かと考えて、そして自分なりに判定してみることです。

どうかシビアにかつ単純に判定してみて下さい。そこがポイントです。

自分が、係長や課長になったとして、「今の知識・スキル等で務まるだろうか?」と考えて見ればその答えは、すぐに出てくるのではないでしょうか?

 出来れば、まだその時期でなくとも、この方法で効率的に準備も可能になります。例えば、あなたは、今あるポストから、今度は、支店長をも狙える様になっていたとします。その時に、支店長を今の自分が務めるとしたら、今の自分で対応できない点はどこかと多面的にざっと考えてみます。それは、厳密なものでなくとも(理由は後で記します)当面は自分が感じた点でもよいのです。

 本当に、一先ず最初は、今は”これとこれ”と云った漠としたもので良いのです。

 支店長になれば、セクションの管理職と違って大局的に組織を見なければなりませんし、自分の専門以外の部署もコントロ-ルして行かなければなりません。外部対応や、また、本社との間で、一番大事な収支や支店経営全般の責任を持たなければなりません。

  そう言った切り口で考えてみると、自分が支店長になった場合、例えば[財務諸表」の理解度はこれで良いのか。部下の企画部門がまとめた支店各部門からの年度計画の数値が支店長(自分)のところへ分厚い資料となって上がって来ますが、それを読み解き、コメントや再指示をし、本社・支社などの指示・方針と自支店の年度方針との整合性を図ってゆくなど、相当の知識やスキルの積み上げを要することになると思います。

少し、シビアに書きましたが、要は今の自分には、これと、これ・・etcは、完全に不足しているなと思えたら、思いつくものを「気に留め置く、あるいは書き出してみる」だけでいいのです。「たったのこれだけ」です。

 これをすぐに何らかの方法で学び始めるも”よし”ですが、最初は手掛かりもなくどこから取り組んでよいか初めは分からないと思います。

ですが、はじめは兎に角何でもいいから関心のあるもの、とっ掛かり易いものからでいいのです。

例えば、「財務諸表」のうち「損益計算書」をなんとか攻略しようと思ったら、それを心に留置きます。

 そうすると、皆さんはそのうちに不思議な現象に気が付くことになります。この損益計算書や大きく財務諸表のテーマに関することを見聞きするたびに自然に反応している自分がいることに気付かれるでしょう。

こうなれば、しめたもので、あとは、自分が知りたいこと、学びたいことを一つずつ学んでゆくだけでよいのです。

お気付きのようにこれではテーマに対して体系的でないとお思いの方がいらっしゃると思いますがこれで十分良い筈です。

ただし、重要なことは体系的ではなくても、ここでは『関連のあるものを学んでゆくという方法』をとります。

どう云うことかと言いますと、簡単なことで、一つ何かこれだと思う興味あるポイントを学んだとします。

そうしたら、それをそのテーマの「核」になるものにして(重要なものと言う意味でない)それをベースに次々に学んでゆくのです。

その核に次に関連して覚えたいことを見つけたとしたら、それを最初の核から派生したつぎの核というように次々に知りたいこと学びたいこと疑問に思えることを学び付け加えて行きます。

イメージとして言えば、「マインド・マップ思考発想法」の考案者(Tony Buzan氏)のマインドマップ図のように関連していることが、次々に整理され体系化、整理されてゆくことに似ています。

あるいは、ジグソーパズルもそうですが、最初は取っ掛かりもままならない、最初のワンピースから全体像を完成させるというそれにも似ています。

 

もちろんマインドマップ図やジグソーパズルとこれは、違いますが、言いたいことは、一つ学んだ核ができればそれをベースに関連したことを次々学んで行くことができる(自然と学んで行きたくなる)という方法です。

 

これは私も実際にこの方法をとっていますし、私の研修受講生にも奨めています。

この方法が良いのは、別に机に向かって「さあ、これから財務諸表を勉強するぞ」という場面ではなく、日常が勉強の舞台になります。

 会議や仕事上でも、この学びたいことが決まっていると、その関心のあっるテーマに自分が反応します。そして小さなことでも「あっ、それはそういうことだったのか!」と思わぬところに知りたいことの解答があったりする筈です。

それもまた当然核となり得ます。そうしてテーマに対し関心や興味さえ失わなければあなたは、次々に学んでゆくことが出来るのです。

人の脳はある程度バイアスがあって、自分の都合のいいように考えようとします。例えば、経理や数字が苦手の人は、社内文書の中の重要な数字を見落としたりしますし、自分の好きな分野や得意の分野の記述はよく覚えているものです。

このように人間は自分の都合のいいように脳で考えてしまうと云うのは心理学の中では定説のようですが、逆にこの「核をベースに学ぶ」と云う方法は、脳の変なバイヤスを取り払い自分の興味あること関心のあることに置き換えていますから、脳から学ぶタイミングを教えてもらうと云う点で理に叶っていると言えると思います。

若い頃、ある企業にいた時代に、上司から、「そのまま行って、例えば君は将来はトップマネージメントや大都市の支店長などになれるのか?!」と実際に投げかけられた一言が、この方法で学ぶきっかけとなりましたし、相当の成果があったことは間違いなかったと今でも思っております。

(閲覧いただきありがとうございます。本編は本年2月に起草したものですが筆者怠慢につき、アップが八月になったこと、冒頭文と写真は今の季節感とそぐわなくなっておりますがそのままにしております。ご容赦ください。)