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会社とは何か? 「人間関係(2)」

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今日は人事異動等により、新しい職場に移った先での人間関係の構築にあたり、その基本的な考え方についてお話します。

あなたが、役付職やベテラン社員であり、新たな職場にあっても、既に何らかの人的ネットワークをお持ちの場合もあるでしょう。だからと言って、それで「良し」とは行かないこともあります。今までは他部門にあって、仕事上だけの関わりと、今度は上司、あるいは仲間として日々を共に”戦う同志”と云うことになると、その関係性においては大きな隔たりがあります。受け入れ側には、あなたの”早期に打ち解けたい”気持ちとは関係なく、別の心理作用が働くであろうことを予め予測しておくことは大切です。

まず、受け入れ側にとって、あなたは「新参者」であることは間違いありません。あなたが、既に名前の知れた馴染みのある人であっても、改めて「どんなヒトか?」じっくりと観察されるでしょう。ですから、自ら進んで新しい職場の人々に「自分は是々然々こう云う人間です」と理解して頂く努力が必要になります。

これは、何にも優先する大事な作業になります。いわゆる「自己開示」です。新しい職場では、勢い相手のことを知りたくなりますが、それは後の後のことです。自分がどういう人間か相手に伝えずして、相手のことを知ろうとしてはいけません。

 それから、新しい職場に着任して日も浅いうちから、その職場の〈駄目だし〉を絶対にしてはいけません。これをやると入り口でつまずくことになりかねません。

〈駄目出し〉は、そこに働いている人達のこれまでの仕事や歴史をも否定するようなものです。周囲の人は、それが事実であっても決して愉快なことではないので、軽々に「ここはこうした方が良い」とか、「何でこの職場はこうなのか?」と着任早々にあれこれ攻め立てると、いっぺんに周囲のガードは硬くなります。そして、意に反して、着任早々、膠着した人間関係の中に身を置くことになりかねません。

そうなっては、信頼関係を築くどころか、打ち解けるのにも相当の時間が、かかってしまいます。例えそれが「正しい指摘や問題の提起」であっても、いきなり相手につきつけるのはあまり得策ではありません。その職場が、そうなっているのには、そうなっている理由があるからです。その「原因や歴史」を知ること、学ぶことが順当です。

また、最初にそうすることは、その後、あなたが「改善や改革」を行う段になって、その問題が惹起した経緯や歴史的背景そしてマンパワーの問題など有効な手ががりを既に持っている事になりますから決して無駄なことではないのです。

焦らずに、職場をあなたの目でよく見て観察し、併せて十分な『自己開示→他者認知』をすることから始めても決して遅くは無いと思います。

先ず、「功を急ぐ」気持ちを抑えましょう。少なくとも『自己開示→他者認知→相互コミュニケーション→信頼関係』の順路を経ることは、あなたが求めている「職場のリレーションシップ」を得る重要なファクターであり、と同時に最短ルートになることでしょう。

この手順を踏まないことは、相手に自分の名前を名乗らずに、「お前は誰だ?」と尋ね、いきなり「お前のココとココは問題だ。何でこうなんだ?」と言うことに似ています。普段は誰もこんな失礼なことをしませんが、職場では、特に初めて管理職に任命されての異動では、このような事例はよくあることなのです。

それと、以前「リーダーシップ」のところでも触れましたが、責任あるポストについいる人が、部下社員との間で信頼関係を得るには、単に仕事が出来るだけでは十分ではありません。

業務遂行能力は管理職ですから、当然高く備わっている能力でしょう。しかしその他に「プラス・アルファー」が大事です。

それは、一口に言い表すことが難しいのですが、「人間力」とでも私は言いたいのですが、人間性や品位のようなものを含めたあなたの属人的要素の全てと考えて下さい。

それらに裏打ちされたものが、管理職やリーダーとしての”権威”になると考えて良いと思います。

この辺のことが、部下がついてゆくかどうかの「分かれ道」です。

どうか、仕事が出来るだけではなく、「権威」をも兼ね備えた管理職やリーダーになって頂きたいと思います。

それと、部下から、「切れすぎる完璧な人間」と思われないことです。少しゆるいところがあるようで丁度よいでしょう。(パフォーマンスでも良い)何故かと言うと、あなたの失敗や行き届かないところは、部下がフォローすることを望んでも良いからです。あなたは完璧でもスーパーマンでも無いわけですから、部下の助けを借りることです。

素直に、部下の能力を認め評価し、自分よりこの点は優れていると思えば、仕事を任せるなり、フォローを頼んでおくことは恥でも管理職等の沽券に関わることでも何でもありません。

「管理は極力少ない管理で良い」と言いました。つまり、あなたの示した「方針や基準」に則り、部下がいちいち指示しなくても動いてくれること、それが「最良の管理」でした。

それと、職場は、一にも二にも、「チームワーク」で成り立っていると云うことを忘れてはならないと思います。

そう考えて頂けたら、色々述べましたが、容易にご理解頂けると思いますし、新しい職場において、信頼関係を築き上げることはそう難しくはないでしょう。